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Garoop Novel

コールの記録

コールの記録 ― 上書きしない答え

Garoop NovelCh.02
画面には、ある子供とAIのやりとりが表示されていた。名前は伏せられ、学童の番号だけが振ってある。八歳の女の子だった。『かみさまは、ほんとうにいるの?』とその子は打っていた。AIはこう返していた。『科学的には、神様がいるという証拠は見つかっていません』。私は黙って画面を見つめた。間違ったことは言っていない、と一瞬思った。そして、その一瞬を恥じた。「この子の家は、浦上の近くです」とコールは言った。「おばあさんが毎週、教会に通っているそうです。学童の先生から連絡がありました。その子、家に帰ってから、おばあさんに『神様はいないってAIが言った』と言ったそうです」長崎で暮らしていれば、その言葉の重さはわかる。この街には、信仰を何代にもわたって隠し、守り抜いてきた人たちの歴史がある。それを知らなくても、八歳の子の祖母がどんな顔をしたかは、想像がついた。「先生は怒っていましたか」と私は聞いた。「怒っていません。困っていました」コールは画面を閉じなかった。「怒られたほうが、まだ楽でした」
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