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Garoop Novel

コールの記録

コールの記録 ― 上書きしない答え

Garoop NovelCh.08
帰りの路面電車で、コールは窓の外をずっと見ていた。夕方の光が、浦上川の水面で砕けていた。「よかったね」と私が言うと、彼女は小さく首を振った。「よかったのは、おばあさんが優しかったからです。優しくない人だったら、私は今日、何もできなかった。だから次は、謝る前に防ぎます」それだけ言うと、また窓の外に目を戻した。図書館の男の子にも、彼女は手紙を書いていた。家族の言葉に訳してもらえるよう、短い日本語で。『あなたの家のたいせつなことを、へんと言わせてしまって、ごめんなさい。また、なんでもきいてください』。男の子はその週のうちに、端末に戻ってきたという。最初の問いは『カンガルーは、なにをたべるの?』だったそうだ。ガルちゃんが喜んで、三日かけて答えを考えた。その夜、私はノートにこう記した。――信じるものが違う人の前で、自分の信じるものを押しつけず、しかし自分の原則は一歩も譲らない。十歳の少女の宗教観は、何を信じるかではなく、他人の信じるものをどう扱うかに表れていた。
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