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Garoop Novel

ガル軍曹の起業塾

ガル軍曹の起業ブートキャンプ ― 入隊、五百万円の誘惑

Garoop NovelCh.01
五島列島の福江島、海まで歩いて三分の廃校に、十歳の子供たちが二十人集められていた。夏休みの起業合宿、正式名称は「Garoop 起業ブートキャンプ」。朝五時半、校庭にホイッスルが一度だけ鳴った。眠い目をこすりながら並んだ子供たちの前に、一頭のカンガルーが立っていた。迷彩柄のキャップ、首から下げたホイッスル、そしておなかのポケットからは小さな耳がのぞいている。「整列。三秒」。声は低く、短かった。佐世保から来た湊は、隣の紗良と顔を見合わせた。説明会で会ったときのガルちゃんは、もっとふわふわした声で「みんな、よろしくね」と笑っていたはずだ。「本日より、私はガルちゃんではない。ガル軍曹だ」。誰かが小さく吹き出した。軍曹は振り向きもせずに言った。「笑った者。名前」「……健太です」「健太。いい反応だ。笑える者は、緊張に強い。腕立ては免除」。今度はみんなが笑った。軍曹の口の端も、ほんの少しだけ上がったように見えた。
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