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Garoop Novel

ガル軍曹の起業塾

ガル軍曹の起業ブートキャンプ ― 嵐の夜間演習

Garoop NovelCh.01
合宿五日目の夕方、職員室のラジオが台風の進路を告げた。五島列島の西を北上、夜半にもっとも接近。窓の外の海は、昼間の青をすっかり失って、鉛のような色にうねっていた。夕食のあと、ガル軍曹は全員を体育館に集めた。キャップのつばを指で押し上げ、短く告げる。「夜間演習を行う」。ざわめきが起きかけて、すぐに消えた。五日間で、子供たちは軍曹の沈黙の長さを覚えていた。「明朝八時、模擬審査。審査員役は島の大人三名。一分隊三分。資料は今夜中に作れ」「台風の中で、ですか」と第一分隊の大翔が聞いた。「台風の中で、だ。本番の日に晴れている保証はない」。軍曹はおなかのポケットに手を添えた。中の新兵は、風の音をものともせず眠っているらしかった。「条件は一つ。何が起きても、八時に立て。以上」「了解」。湊は、隣の紗良の横顔を見た。紗良は窓の外ではなく、手元のノートを見ていた。この五日間で書きためた、港の聞き取りのメモだった。
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