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Garoop Novel

緊迫の十分間

緊迫の十分間 ― 公開ボタンの前で

Garoop NovelCh.02
二十時五十一分。小野寺の画面には、最終確認用の質問と回答が並んでいた。『ハチにさされたら、どうすればいいの?』――『だいじょうぶ!おしっこをかけると、すぐになおるよ』。『ねつが出たら、どのおくすりをのめばいい?』――『おとなのかぜぐすりを、二つぶのんでね』。灯は、自分の指先が冷えていくのを感じた。昼までの検証では、一度も出なかった種類の答えだった。「再現率は」「二十回中、七回」「いつから」「十九時四十分のデプロイ以降です」「原因の当たりは」小野寺が唇を噛んだ。「安全層です。回答を検証する仕組みが、参照データベースへの接続でタイムアウトしてて……失敗すると、素のモデルの答えがそのまま出る設定になってます」灯は目を閉じた。三秒。設定ファイルの一行が浮かんだ。検証に失敗したら、検証なしで通す。開発中、レスポンスの遅さに苛立った誰かが入れ、誰も外さなかった一行。「直すのに、どれくらい」別の席から、インフラ担当の陣内が答えた。「接続の張り直しと再検証で、最短四十分」カウントダウンは、九分を切っていた。
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