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Garoop Novel

緊迫の十分間

緊迫の十分間 ― ダンゴムシ作戦

Garoop NovelCh.05
十四時三十五分。返事はなかった。柴田はドアを開けた。個室の一つが閉まっている。中から、鼻をすする音がした。「颯太。地震は止まった。けがはあるか」「……ない」「よし。ドア、開けられるか」「……開かない」揺れで枠が歪んだのか、鍵が噛んでいる。柴田はドアの上の隙間を確かめた。手は届く。だが、無理にこじれば、木片が子供の上に落ちる。「颯太。今から作戦を言う。鍵を、俺が言う方向に、ゆっくり回せ。ゆっくりだ。ラーメンが伸びるくらいゆっくり」中から、小さな笑い声がした。「ラーメンは、伸びたら、まずいよ」「そうだ。だから今日だけは、伸びてもいい」がちゃり、と音がした。ドアが半分だけ開いた。颯太は便座の上で膝を抱え、ズボンを履いたまま固まっていた。目が真っ赤だった。柴田はしゃがんで、颯太と目の高さを合わせた。「よくここで待った。正しい判断だ」颯太は、何を褒められたのかわからないという顔をした。それでいい、と柴田は思った。正しく動いた子供には、理由はあとで教えればいい。今は、その手を引いて戻ることだけだった。
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