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Garoop Novel

未来ファンド審査室

未来ファンド審査室 ― 嵐の夜の臨時会議

Garoop NovelCh.08
台風は夜のうちに東へ抜け、翌朝の鎌倉は、洗ったような青空だった。午前九時、ひなたは母親と並んで、二百十三人への電話を始めた。審査員は誰も代わりにかけなかった。ガルちゃんだけが、審査室で記録を取りながら、ときどき届く報告に目を通した。叱る人もいた。黙って切る人もいた。けれど、「電話をくれてありがとう」と言う人のほうが、ずっと多かった。昼過ぎ、ひなたは商店会長の店へ向かった。会長は店先の傘立てを指さして、ぶっきらぼうに言ったという。「今日も置いとくよ。また雨が降るからな」夕方、霧島のノートの新しいページに、二行が加わった。「判断、良」「取り組み、良」春に書いた「振る舞い、良」の、すぐ下だった。どんな場面でも正しく動ける人間は、大人にもそう多くはない。間違えたあとに、何を考え、どう判断し、どう取り組み、どう振る舞うのか。十歳の少女は昨夜、その全部に一つずつ答えを出した。正しいことを、正しいやり方で。この子が、この先どんな大人になっていくのか。ガルちゃんは窓を開け、雨上がりの風を吸い込んだ。その未来を見届けられることが、この仕事のいちばんの報酬だった。
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