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Garoop Novel

コールの記録

コールの記録 ― 二票差の冬

Garoop NovelCh.03
代わりにコールがしたことは、地味だった。昼休みと放課後に、一人ずつ話を聞いて回ったのだ。全校で三百人近くいる児童のうち、五年生と四年生の百人あまり。ノートに、聞いたことを短く書き留める。『体育館の時間割が不公平』『図書室が早く閉まる』『一年生が廊下で泣いていても、誰も声をかけない』。一週間で、ノートは半分埋まった。「AIを使えば一時間で終わることを、一週間かけた」と私が言うと、コールは首を振った。「AIを使えば一時間で、みんなの困りごとが『わかった気』になります。会って聞くと、困ってる顔がわかります」それから、ノートを閉じて付け加えた。「それに、選挙のための話は、選挙のためだと言って聞かないと、ずるいです」彼女は話を聞くたびに、最初にこう言っていたという。『副会長に立候補したコールです。公約を作りたいので、困っていることを教えてください。誰に入れるかは、関係なく』。政治観、という言葉は、十歳の子にはまだ大きすぎるかもしれない。だが彼女は、票をもらうことと、意見を聞くことを、はっきり分けて考えていた。
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