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Garoop Novel

ガルちゃん外伝

ガルちゃん外伝 ― 草原から長崎へ

Garoop NovelCh.02
翌朝、草原の端の未舗装路に、白い四輪駆動車が停まった。国立公園のレンジャー、エイミーだ。群れは彼女を知っている。水桶を運び、怪我をした若い雄の脚に包帯を巻いてくれた人間だ。ガルちゃんは少し距離を取って、車のボンネットに置かれた薄い板を見ていた。タブレットというらしい。エイミーはそれに話しかけ、板は返事をしていた。「この地域の今後十日間の降水確率と、乾燥による火災リスクを要約して」画面に文字が並び、エイミーはうなずいて無線を取った。ガルちゃんは耳をそばだてた。言葉は全部はわからない。けれど、板が地図を描き、北西の谷から南東へ赤い帯を塗ったのは見えた。「ママ、あれ、なに」「わからない。でも、たぶん、考える道具」「カンガルーも使える?」ガルちゃんは答えなかった。代わりに、エイミーが車に戻るまで、ずっと板を見ていた。人間は、空を読むのに空を見ていなかった。何千もの空の記録を、板の中の何かに読ませていた。それが生成AIと呼ばれるものだと、彼女は後で知った。その夜、ガルちゃんは眠れなかった。ポケットの中の寝息を聞きながら、考えた。この子が大人になる頃、草原の外の世界は、あの板で動いているだろう。そのとき、この子は空を見るだけで足りるだろうか。
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