🕯️
Garoop Novel

ガルちゃん外伝

ガルちゃん外伝 ― 正しいことを、正しく

Garoop NovelCh.02
その夜から準備が始まった。ベビーは、生成AIにスライドを作らせようとした。「一時間で二十枚できた」「数字は」「AIが入れてくれた」「確かめたか」「……ママ、それ、一年前も言った」「一年後も言う」結局、二十枚のうち、使えたのは六枚だった。利用者数、継続率、売上。全部を自分たちの帳簿と照らし合わせて書き直した。月の売上は十二万円。少ない。少ないが、本当の数字だった。陽向は、面接で話す言葉を紙に書いて覚えようとした。ガルちゃんはそれを止めた。「暗記するな。訊かれたことに、短く答えろ。わからないことは、わからないと言え」「それで落ちたら?」「落ちたら、また来年」「先生、軽い」「軽くない。本当のことを言って落ちるのと、嘘をついて受かるのとでは、あとで背負う重さが違う」出発の朝、長崎空港の保安検査場で、係員がガルちゃんのポケットを指さした。「そちらの中身は」「息子です」「……液体物は」「入っていません。たぶん」ベビーがポケットから顔を出し、「入ってません」と自分で答えた。係員は三秒考え、通してくれた。後ろで陽向が、肩を震わせて笑いをこらえていた。
2 / 8 ページ❦garu-gaiden-003