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Garoop Novel

緊迫の十分間

緊迫の十分間 ― ダンゴムシ作戦

Garoop NovelCh.02
十四時三十二分。床が横に滑った。長机の上のタブレットが一斉に跳ね、天井の照明がばちんと音を立てて消えた。非常灯の緑だけが残る。誰かが悲鳴を上げ、それが三十人分の悲鳴に変わる寸前に、柴田の声がホールを割った。「全員、机の下」大きくはない。だが、よく通る声だった。「頭を守れ。机の脚を握れ。動くな」子供たちが机の下に潜り込む。揺れはまだ続いている。前方では、若い女性スタッフの森下が立ちすくんでいた。「森下、しゃがめ。前列を見ろ」「は、はい」揺れの中で、柴田は時間を数えていた。十秒。二十秒。棚から何かが落ちる音。机の下で、男の子がしゃくり上げはじめる。泣き声は伝染する。一人が泣けば、十人が泣く。柴田はしゃがんだまま、ホール全体に聞こえる声で言った。「いいか。今から全員、ダンゴムシになる。丸くなれ。一番きれいに丸いダンゴムシには、あとでおやつを二倍出す」一瞬、泣き声が止まった。どこかの机の下から、くすっと笑う声がした。「二倍って、ほんと?」「本当だ。審査員は俺だ。丸くなれ」揺れが、ゆっくりと引いていった。
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