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Garoop Novel

緊迫の十分間

緊迫の十分間 ― ダンゴムシ作戦

Garoop NovelCh.08
その日のハッカソンは中止になり、子供たちは迎えに来た保護者と一人ずつ帰っていった。おやつは約束どおり、全員に二倍配られた。誰が一番丸いダンゴムシだったのか、柴田は最後まで決めなかった。夕方、片付けを終えたホールで、森下が言った。「私、何もできませんでした」「待機を守った。三十人を一人も動かさなかった。それが一番難しい」森下は少し泣いて、それから笑った。二週間後、仕切り直しのハッカソンで、結衣のB班は一つのアプリを発表した。名前は「じゅっぷんかん」。地震のとき、班長が人数を数えて報告するのを、AIが声で手伝ってくれるアプリだった。発表の最後に、結衣は言った。「大人の声が、短いと、こわくないです」会場が笑い、柴田は後ろの壁際で、顔をこわくしないように苦労した。いつ、どんなときでも正しく動ける人間は多くない。怖さの中で何を見て、誰に何を任せ、どこで人を笑わせるのか。あの十分間、あの子はそれを全部、自分の小さな手でやってのけた。正しいことを正しく選べる子供が、あと十年、二十年たったとき、どんな大人になっているのか。柴田は、それを見届けるまで、この仕事を続けようと思った。
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