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Garoop Novel

未来ファンド審査室

未来ファンド審査室 ― 線はどこに引く

Garoop NovelCh.02
葛西蓮は、自分で製本した見本の絵本を三冊、胸に抱えて入ってきた。背は高くないが、声がよく通る。「主人公は、注文した家の子です。名前も、飼っている犬も、好きな食べ物も、物語に出てきます」見本の一冊は、ハムスターと一緒に月まで餅つきに行く女の子の話だった。淡い水彩のような挿絵で、輪郭がやわらかく、どのページにも小さな星が散っている。円城慈道が一冊を手に取り、ゆっくりページをめくった。「よくできている」「ありがとうございます」「物語も、あなたが」「骨組みはぼくが考えて、文章はAIと相談して直します。絵はAIです。でも、三十回くらい作り直させて、一番いいのを選びます」波多野が聞いた。「お客さんは、どうやって集めた」「最初は、いとこの家と、友だちの家です。それから、お母さんたちのグループで広まりました」「値段は」「一冊二千八百円です」受け答えに淀みはなかった。佐伯は質問をせず、ずっと画面のログを下へ下へとたどっている。ふと、その指が止まった。ガルちゃんは、佐伯の表情がわずかに曇ったのを見逃さなかった。霧島が言った。「十分休憩。応募者は控室へ」
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