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Garoop Novel

未来ファンド審査室

未来ファンド審査室 ― 線はどこに引く

Garoop NovelCh.08
会議のあと、ガルちゃんは勉強ノートの新しいページに、一行だけ書いた。「借りたら、名前を出して、礼を言う」生成AIの教科書には載っていない一行だった。霧島がそれを横から覗き込み、短く言った。「お前も学んでいるな」「はい。線の引き方を」霧島はうなずき、それ以上は何も言わなかった。一か月後、審査室に一通の報告書が届いた。三つの条件は、すべて期限内に満たされていた。三十件のうち、作り直しを希望したのは十二件。残りの十八件の家からは、作り直さなくていい、この本のままがいい、という返事が来たという。報告書の最後には、写しが一枚添えられていた。森下ほたるからの返信だった。丁寧な字で、短く。『お手紙、ありがとう。わたしの絵を好きでいてくれて、うれしいです。次は、あなた自身の絵を見せてください』ガルちゃんは、その写しを議事録の最後のページにそっと挟んだ。間違えることより、間違えたあとの振る舞いのほうが、ずっと長く残る。窓の外では、ようやく梅雨が明けようとしていた。ポケットの中で、ベビーが小さく手を伸ばした。
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