Vol.01
未来ファンド審査室 ― 数字ではなく、振る舞いを見る
十歳の起業家に投資する「未来ファンド」。審査の最中、火災報知器が鳴り響く。逃げ遅れた年下の子の手を握り、外で冗談を一つ置き、戻って自分の売上の誤りを正した少女。元自衛官の審査員がノートに書いたのは、たった一行だった。
Garoop Bunko · 書架
十歳の起業家、軍隊式の合宿、緊迫の十分間、そしてカンガルーのガルちゃん。正しいことを、正しく行う人たちの小説を、夜の文庫に並べました。
十歳の起業家に投資する「未来ファンド」。審査の最中、火災報知器が鳴り響く。逃げ遅れた年下の子の手を握り、外で冗談を一つ置き、戻って自分の売上の誤りを正した少女。元自衛官の審査員がノートに書いたのは、たった一行だった。
生成AIで「その子だけの絵本」を作る十一歳。だが生成ログには、実在の絵本作家の名前が三十回並んでいた。法律の線と倫理の線は同じ場所にない――元議員、元僧侶、AIエンジニアの意見は割れる。寡黙な議長の答えは「本人に聞く」。
台風の夜、投資先の十歳から震える電話。利用者二百十三人の名簿がネットに出た。「まず止血。次に連絡。最後に説明」――審査員たちは代わりに手を動かさず、少女が自分で立ち上がるのを支える。そして寡黙な議長が、ひとつだけ冗談を言った。