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Garoop Novel

緊迫の十分間

緊迫の十分間 ― 赤い空の群れ

Garoop NovelCh.05
十五時十六分。ガルちゃんは、群れ全体に聞こえるように地面を後ろ足で打った。カンガルーが危険を知らせるときの合図。どん、どん。「東へ。トラックを追って。川まで止まらない」若いオスたちが、まだ迷っている。そのうちの一頭が、震える声で言った。「でも、長が動いてない。長より先に跳んだら、あとで怒られる」緊張で張りつめた群れの中で、その言葉は妙に間が抜けて響いた。ガルちゃんは、ふっと息を抜いた。「大丈夫。今日だけは、長より速く跳んでいいって、許可が出てる」「誰の許可」「わたしの」一瞬の沈黙のあと、群れのどこかで、子供のカンガルーがくすくす笑った。それが合図になったように、若いオスたちの肩から力が抜けた。最初の一頭が東へ跳び、次の一頭が続いた。そして、群れの長がゆっくりと向きを変えた。片耳の欠けた頭が、ガルちゃんの横を通り過ぎるとき、ほんの少しだけ下がった。礼だったのか、ただ煙を避けただけなのか、今でもわからない。群れが、東へ流れはじめた。ガルちゃんは最後尾についた。ポケットの中で、お兄ちゃんが小さく鳴いた。
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