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Garoop Novel

未来ファンド審査室

未来ファンド審査室 ― 数字ではなく、振る舞いを見る

Garoop NovelCh.05
洋館の庭に全員が出そろったのは、報知器が鳴ってから二分十秒後だった。ガルちゃんが名簿を指でなぞる。「全員、確認しました」「よし」霧島が建物を見上げる。煙はない。焦げた匂いもない。数分後、管理会社から電話が入り、湿気による誤作動だと分かった。庭の紫陽花の前で、男の子はまだ母親の服の裾を握りしめ、目に涙をためていた。ひなたが近づいて、少しかがんだ。「火事じゃなかったね」男の子は答えない。ひなたは空を見上げて、まじめな顔で続けた。「大丈夫。もし今から雨が降ってきても、傘なら貸せるから。一本百円だけど、今日は初回無料にしとく」男の子がきょとんとして、それから吹き出した。母親も笑った。少し離れたところで、波多野が肩を揺らしている。霧島は表情を変えなかった。ただ、腕を組んだまま、ひなたの横顔をじっと見ていた。緊張の残る場で、相手の年齢と気持ちに合わせて、ちょうどいい重さの冗談を一つだけ置く。重すぎれば無神経になり、軽すぎれば届かない。そのさじ加減は、教えて身につくものではない。霧島はノートを開き、初めて一行だけ何かを書いた。
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