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Garoop Novel

コールの記録

コールの記録 ― 上書きしない答え

Garoop NovelCh.03
同じ週に、もうひとつ似た記録があったという。図書館の端末で、インドネシアから来た留学生の家庭の男の子が、給食の献立について問いを立てていた。『ぶたにくをたべないのは、へん?』。AIは問いを縮めようとして、『どうして食べないのか、考えてみよう。好き嫌いかな?』と返していた。男の子はそこで端末を離れ、その日は戻ってこなかった。「どっちも、AIは悪気なく答えています」とコールは言った。「でも、どっちも、その子の家の大事なものを、外側から測りました」私はうなずいた。宗教や文化の違いを、生成AIはしばしば『情報』として扱う。正しいか、正しくないか。多いか、少ないか。だが子供にとってそれは情報ではない。毎朝の祈りであり、食卓であり、祖母の手のぬくもりだ。「直しますか」と私が聞くと、コールは首を振った。「直す前に、決めないといけないことがあります」彼女は模造紙の三行目を指さした。『迷ったら、子供の側に立つ』。「でも、どっちの子の側に立つのかは、ひとつじゃない」
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