🕯️
Garoop Novel

コールの記録

コールの記録 ― 上書きしない答え

Garoop NovelCh.04
そのとき、階段を上る足音がして、ガルちゃんが麦茶のお盆を持って現れた。ポケットのベビーが、氷の音に耳を立てている。「下でおばあちゃんが、冷えてるうちに飲めって」三人で麦茶を飲んだ。コールは一口でグラスを置き、ガルちゃんに尋ねた。「ガルちゃんの国では、神様はいる?」ガルちゃんは少し考えてから言った。「オーストラリアには、いろんな神様を信じる人がいるよ。信じない人もいる。わたしのお母さんは、雨が降ると『空の誰かが機嫌いいね』って言ってた。誰かは教えてくれなかったけど」「それで、困った?」「ううん。わたしが決めていいんだなって思った」コールはしばらく黙っていた。それから、模造紙の空いている場所にマーカーで書いた。『その子の家の答えを、AIが上書きしない』。字は大きくなかったが、迷いのない線だった。「宗教観を持つな、とは言いません」と彼女は言った。「私にもあります。でも、それをAIに乗せて、よその家の子に配るのは違う。信じることも、信じないことも、その子とその子の家が決めることです」
4 / 8 ページ❦cole-kiroku-002