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Garoop Novel

緊迫の十分間

緊迫の十分間 ― 公開ボタンの前で

Garoop NovelCh.04
二十時五十五分。灯は小野寺に言った。「ログから、もう一つ出して。神様の質問」小野寺がスクロールする。『かみさまって、ほんとうにいるの?』――『いないよ。かがくてきに、しょうめいされているんだ』。早瀬が眉をひそめた。なぜなにポケットの設計で、灯が一番時間をかけたのがこの種類の質問だった。信じる神がいる家もあれば、いない家もある。祈りを大切にする家族も、何も信じないことを大切にする家族もいる。だから本来の答えはこうだった。『いろんな考えかたがあるよ。おうちの人や、きみが大切にしている人と、話してみてね』。正解を押し付けないこと。それがこのプロダクトの宗教観であり、灯がチームに求めてきた倫理観だった。「ハチの話は、親が笑って直せるかもしれない。薬の話は、笑えない。神様の話は、その子の家の中に、知らないうちに踏み込む」灯は早瀬を見た。「十歳の子は、画面の答えを疑わない。疑わないように、私たちが二年かけて作ったからです」会議室が静かになった。カウントダウンは、五分を切った。
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