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Garoop Novel

緊迫の十分間

緊迫の十分間 ― 赤い空の群れ

Garoop NovelCh.03
十五時十四分。煙が濃くなった。群れの長、片耳の欠けた年寄りのオスが、西の林のほうへ鼻を向けた。煙の薄いほうへ。そこに逃げれば、少なくとも今は息ができる。群れの半分が、もうそちらへ体を向けていた。ガルちゃんの耳が、マギーの無線を拾った。「風が南西に回る。火の側面が東へ振れる。西の林は、五分後には火の通り道だ」意味の全部はわからなかった。でも、西という単語と、マギーの声の硬さはわかった。毎朝聞いてきた声の中で、一番硬い声だった。ガルちゃんは群れの長の前に跳び出した。若い母親が長の進路をふさぐなど、ありえないことだった。長が低く唸る。ほかのオスたちが、何をしているのかと首をかしげる。「西はだめ」カンガルーの言葉で、ガルちゃんは言った。「風が回る。いま煙が薄いところが、すぐ一番熱くなる」「若いのが、何を知ってる」「何も知らない。でも、マギーが知ってる。わたしは、マギーの声を毎朝聞いてた」長が、ガルちゃんを見た。その目の奥に、怒りではなく迷いがあるのを、ガルちゃんは見た。長も、怖いのだ。
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