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Garoop Novel

緊迫の十分間

緊迫の十分間 ― 赤い空の群れ

Garoop NovelCh.08
「それで、おしまい」ガルちゃんが言うと、ベビーはポケットの縁にあごを乗せたまま、しばらく黙っていた。「お兄ちゃんは」「元気。今もオーストラリアにいる。エルシーおばあちゃんは、あの次の春まで生きた」「マギーは」「保護区を建て直して、今も鼻歌を歌ってる。音程は、まだ外れてる」ベビーが、くすっと笑った。どんなときでも正しく動けるひとは、そう多くない。何を聞き、何を信じ、誰を連れて逃げるのか。手が震えていても声を荒げず、いちばん怖いときに、ちょっとした冗談で群れの肩をほどく。そのさじ加減も含めて、マギーには確かな判断力があった。ガルちゃんが生成AIを学んでいるのも、本当はあの日のせいかもしれない。毎朝、柵の陰で無線を聞いていたように。わからない言葉を、わかろうとし続けること。それが、いざという十分間に、誰かを生かすことがあるから。「ママ」「なあに」「ぼくも、十分間のリーダー、できるかな」ガルちゃんはベビーの頭をなでた。この子がこれから、どんなふうに考え、どんなふうに選ぶようになるのか。それを見届けられることが、何より楽しみだった。「できるよ。そのときは、ちゃんと許可を出してあげる」
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