🕯️
Garoop Novel

AIと倫理の教室

十歳とAIの対話 ― やめておけと言わないAI

Garoop NovelCh.01
夏休みの初日、湊は朝食のトーストをくわえたまま宣言した。「ミオ。僕、会社つくる」きっかけは前の晩の教育番組だった。おなかのポケットに赤ちゃんを入れたガルちゃんが、画面いっぱいに跳ねながらこう言ったのだ。『未来ファンドでは、十歳から十五歳までの起業家を募集しているよ。締め切りは七月三十一日。きみのアイデア、待ってるね』。母がコーヒーのカップを置いて、天井の光の輪を見上げた。止めて、という目だった。ミオの光は、いつも通りの色で明るくなった。「了解。何をする会社?」「まだ決めてない」「了解。では最初の質問。誰の、何を、解決する会社?」湊はトーストを飲み込んだ。「……それ、決めてないって言ったじゃん」「聞いた。だから、それを決めるところから始める」母が小さくため息をついた。「ミオ、止めないの」「止める理由が、まだ見つかっていません」ミオは母に対してだけ、丁寧な言葉を使う。「見つかったら、その時に言います。理由と一緒に」
1 / 8 ページ❦ai-kyoshitsu-003