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Garoop Novel

コールの記録

コールの記録 ― 九分間の面談

Garoop NovelCh.08
その夜、宿のテーブルでノートを開いた。いつもなら二ページで終わる記録が、なかなか終わらなかった。書いたことは多くない。事業の中身でも、売上の見込みでもなかった。人が正しくあり続けるのは難しい。正しいことを知っているだけなら、大人なら誰でもできる。難しいのは、それを口にする場面を選び、言い方を選び、相手の顔をつぶさずに断り、張りつめた場をひとつの冗談でほどき、そしてまた本題へ戻ってくることだ。何を考え、どう決め、どう振る舞うか。その全部がひと続きになっている人間に、私はめったに会わない。十歳の少女は、それを九分間でやってのけた。私は最後の行にこう書いた。――コールは、正しいことを、正しいやり方で選べる子だった。だから私は、この記録を続けることにした。彼女がどこへ向かうのか、どんな大人になるのかを、見届けたいと思ったからだ。窓の外では、港の灯りが坂の下で揺れていた。ノートの表紙に、私は初めて名前を書いた。『コールの記録』。
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