🕯️
Garoop Novel

AIと倫理の教室

十歳とAIの対話 ― 二十八対三の学級会

Garoop NovelCh.02
「ミオ。多数決って、正しいの」その夜、湊は宿題の算数ドリルを閉じてから聞いた。天井の光の輪が明るくなる。「質問の範囲が広い。もう少し絞って」「今日の学級会。二十八対三で、カツカレーに決まった」「了解。結論から言う。多数決は、決め方の一つだ。全部じゃない」「でも、みんなそうやって決めてるよ。選挙とか」「そう。大勢の考えをまとめるのに、今のところいちばん揉めにくい方法の一つだ。ただし、使う前に確かめることがある」「何」「多数決で決めていいことかどうか」湊はドリルの角を指でめくった。「決めていいことと、だめなことがあるの」「たとえば、クラスの三人を今日から無視する、を多数決で決めていいと思う?」「だめに決まってる」「なぜ」「……だって、三人がかわいそうだし、そもそもそんなの、決めることじゃない」「それだ。数で決めていいのは、全員が受け入れられる範囲の中の話だけ、という考え方がある」湊はナディアの横顔を思い出していた。
2 / 8 ページ❦ai-kyoshitsu-002