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Garoop Novel

コールの記録

コールの記録 ― 九分間の面談

Garoop NovelCh.03
「答えを配るのは簡単です」とコールは続けた。「今のAIなら、算数の宿題も読書感想文も、一瞬で終わります。でもそうすると、子供は質問するのをやめます。わからないことを、わからないまま置いていくようになる」彼女はキーボードに指を置き、入力欄に打ち込んだ。『わりざんがわからない』。画面の向こうでAIが返す。『どこから、わからなくなった? ひとつずつ、分けてみようか』。続けて彼女は『ぜんぶ』と打つ。AIは『じゃあ、クッキーが六枚あって、三人で分けるところから』と返した。「問いを小さくするのが仕事です」とコールは言った。「大人は、わからないことを分解できます。子供はまだ、それがうまくない。だから手伝う。答えまで連れていくんじゃなくて、自分で歩ける距離まで、問いを縮める」私はノートに『問いを縮める』と書いた。説明に無駄がなかった。形容詞をほとんど使わない。自分の製品を褒める言葉が、ひとつも出てこない。それでいて、彼女が何を大事にしているかは、はっきりと伝わってきた。九分のうち、まだ三分しか経っていなかった。
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