🕯️
Garoop Novel

コールの記録

コールの記録 ― 九分間の面談

Garoop NovelCh.06
「頑固だね」と、年長の審査役が言った。責める口調ではなかった。確かめるような声だった。コールは少しだけ首をかしげた。「よく言われます。祖母には、『呼べば返事はするとに、言うことは聞かん』と言われます」一拍おいて、部屋の空気がほどけた。審査役の女性が吹き出し、年長の男性も口元を押さえた。ガルちゃんが「それ、わたしも言われる」とつぶやき、さらに笑いが広がる。「コールというのは、そこから?」と私が尋ねると、彼女はうなずいた。「小さいころ、名前を呼ばれると、どこにいてもすぐ『はい』と返事をしたそうです。だから祖母が、コール、と。呼べば返ってくるから」「でも、言うことは聞かない」「聞くべきことは聞きます」間髪を入れずにそう返され、今度は私が笑う番だった。ジョークの置き場所が絶妙だった。張りつめた糸を、切らずに、ちょうどよく緩める。そのあとで彼女は笑顔を引っこめ、時計を見た。「あと一分です。質問があれば」
6 / 8 ページ❦cole-kiroku-001