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Garoop Novel

コールの記録

コールの記録 ― 上書きしない答え

Garoop NovelCh.01
出資から三か月が過ぎた夏、トイカケは長崎市内の学童三か所と、図書館の子供コーナーで試験運用を始めていた。私は月に一度、コールの『会社』を訪ねる。会社といっても、祖母の家の二階の六畳間だ。窓から稲佐山が見え、扇風機が首を振り、壁には模造紙が貼ってある。模造紙には大きな字で三行だけ書かれていた。『答えを出さない』『子供の言葉を売らない』『迷ったら、子供の側に立つ』。社員はいない。コールと、ときどき遊びに来るガルちゃんと、ポケットのベビーだけだ。ガルちゃんは最近、プロンプトの書き方を覚えたらしく、ノートに丸っこい字で練習問題を書きためていた。「報告」と、私が座るなりコールは言った。「利用者、四十二人。一日の平均の問い、六つ。いちばん多い言葉は『なんで』です」「順調だね」「数字は、です」彼女はそう言って、ノートパソコンの画面をこちらに向けた。その顔を見て、私は今日の訪問が、いつもの報告では終わらないことを悟った。扇風機の音が、急に大きく聞こえた。
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