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Garoop Novel

AIと倫理の教室

十歳とAIの対話 ― やめておけと言わないAI

Garoop NovelCh.05
その日の夕方、三人は田村さんと一緒に、田村さんの家のAIに話しかけた。奥さんがよく通っていた漬物屋の名前、使っていた糠の種類、田村さんが覚えている台所の匂い。AIはそれを一つずつ聞き取り、いくつかの作り方の候補を出した。「これかもしれん」と田村さんは言った。それから、ずいぶん長い間、画面を見ていた。帰り道、湊はミオに言った。「僕たち、使い方を教えに行ったのに、教えてないね」「教えた。最初の一歩を。それが湊たちの会社の仕事だった」「説明の紙、いらなかった」「次から、紙の一行目に、聞く、と書けばいい」翌週の土曜日、公民館には七人が来た。田村さんが、漁師仲間に声をかけたのだ。その次の週は十二人。ナディアは問診票をつくり、大翔は待ち時間の老人たちに将棋で負け続けた。三百円の箱には、小銭が少しずつたまっていった。湊は売上をノートにつけながら、それが自分の小遣いとはまったく違う重さを持っていることに気がついた。
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