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Garoop Novel

ガルちゃん外伝

ガルちゃん外伝 ― 草原から長崎へ

Garoop NovelCh.08
ナオミが用意してくれたのは、坂の途中にある古い木造アパートの一室だった。窓を開けると、港が見える。夜になると、対岸の造船所の灯りが水面に長く揺れた。最初の夜、ガルちゃんは借りたノートパソコンの前に座った。画面には、白い入力欄が一つだけ。カーソルが点滅している。何を訊けばいいのか、わからなかった。草原では、訊く前に体が動いた。ここでは、問いを立てることから始めなければならない。ポケットの中から、ベビーが言った。「なんでも訊いていいんだって」「なんでも、は難しい」「じゃあ、いちばん知りたいこと」ガルちゃんは少し考えた。それから前脚の爪で、一文字ずつ、ゆっくりと打った。――子供の未来のために、母親ができることは何ですか。返ってきた答えは長く、丁寧で、どこか誰にでも当てはまるものだった。彼女は最後まで読み、うなずき、画面を閉じた。「答え、よかった?」「半分。残りの半分は、自分で考える」「どうやって」「仕事にする」ベビーが首をかしげる気配がした。ガルちゃんは窓の外の灯りを見た。学ぶだけでは足りない。学んだことを、この子と同じくらいの子供たちに手渡せる形にする。それはたぶん、人間の言葉で起業と呼ぶのだろう。港の灯りが、一つ、また一つと消えていった。
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