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Garoop Novel

未来ファンド審査室

未来ファンド審査室 ― 数字ではなく、振る舞いを見る

Garoop NovelCh.08
昼休み、ガルちゃんは議事録を清書しながら、霧島のノートをそっと見た。見開きのページに、たった一行。「振る舞い、良」それだけだった。「もっと書かなくていいんですか」「十分だ」霧島はそう答えて、窓の外の若宮大路に目をやった。ガルちゃんは最近、夜に生成AIの勉強をしている。ベビーを寝かしつけたあと、ポケットを揺らしながら、画面の向こうの言葉の仕組みを一つずつ覚えていく。もっともらしい事業計画書なら、今はもう数秒で書ける。売上の予測も、見栄えのいいグラフも。だが、報知器の鳴る廊下で誰の手を握るかは、どんな機械も代わりに決めてはくれない。どんな場面でも正しく動ける人間は、大人にだってそう多くはない。考え、選び、取り組み、そして振る舞う。そのすべてが、今日の十歳には一本の筋で通っていた。あの子がこの先どんな人になっていくのか。それを、少し遠くから見届けていけることが、ガルちゃんにはうれしかった。ポケットの中で、ベビーが小さくあくびをした。霧島が腕時計を見る。「次」扉の向こうでは、さっきの男の子が、もう泣きやんで待っていた。
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