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Garoop Novel

AIと倫理の教室

十歳とAIの対話 ― 二十八対三の学級会

Garoop NovelCh.01
二〇四四年の六月、湊は五年二組の学級委員になっていた。なりたくてなったわけではない。四月の選挙で、推薦された三人のうち、いちばん断るのが下手だったのが湊だった。その日の学級会の議題は、七月のわかば祭で出す模擬店の献立だった。黒板代わりの壁面ディスプレイに、候補が四つ並ぶ。カツカレー、焼きそば、たこ焼き、かき氷。担任の杉浦先生は教室の後ろで腕を組み、口を出さない。議論らしい議論は五分で終わった。誰かがカレーの話を始めると、教室じゅうがもうカレーの匂いを想像していた。手を挙げてもらい、湊が数える。カツカレー、二十八票。焼きそば、三票。残りはゼロ。教室が沸いた。いちばん大きな声で喜んだのは、カツカレーを推した大翔だった。「圧勝! はい決定!」湊は黒板に丸をつけた。そのとき、窓際の席のナディアが、机の下で指を組んだまま、ゆっくり下を向くのが見えた。焼きそばに手を挙げた三人のうちの一人だ。湊は丸をつけたチョークを置き、少しだけ、その横顔を見ていた。終わりのチャイムが鳴った。
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