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Garoop Novel

コールの記録

コールの記録 ― 九分間の面談

Garoop NovelCh.02
入ってきたのは、紺色のレインコートを着た少女だった。フードを外すと、肩までの髪が少し跳ねている。背中のリュックからノートパソコンを取り出し、机に置き、それから初めてこちらを見た。「コールです。十分ください。九分で終わらせます」挨拶はそれだけだった。私の隣に座った審査役の二人が、わずかに顔を見合わせる。子供の面談では、まず緊張をほぐすところから始めるのが普通だ。好きな食べ物を聞き、学校の話を聞き、それから本題に入る。だが彼女は、その手順を必要としていなかった。「どうぞ」と私が言うと、コールはうなずき、画面をこちらに向けた。そこに映っていたのは、白い背景に一行だけの入力欄だった。ロゴもない。説明もない。「これが全部です」と彼女は言った。「子供が『わからない』と書くと、AIが『何がわからないのか』を一緒に探します。答えは出しません」審査役のひとりが眉を上げた。「答えを出さない生成AI、ということ?」「はい」短い返事が、雨音の中でよく通った。
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