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Garoop Novel

コールの記録

コールの記録 ― 九分間の面談

Garoop NovelCh.04
「お金の話をしても?」と審査役の男性が言った。年長の、穏やかだが容赦のない人だ。「親は、答えを出してくれるAIのほうにお金を払うと思う。宿題が早く終わるからね。きみのは、時間がかかるほうのAIだ」コールは少しも慌てなかった。「はい。だから、親には売りません。学童と、塾と、図書館に売ります。『子供が自分で考えた時間』を記録して、大人に見せます」「時間を売る?」「考えた跡を売ります」そのとき、部屋の隅で小さな物音がした。見ると、窓際の椅子に、いつの間にかカンガルーが座っていた。おなかのポケットから、まだ小さなベビーが顔を出している。審査役の二人が固まった。コールは振り返りもせずに言った。「ガルちゃんです。相棒です。生成AIの勉強中で、トイカケの最初のテストユーザーです」ガルちゃんは申し訳なさそうに片手を上げた。「傘立てが満員だったの。ここで乾かしてもいい?」私は笑うのをこらえて、どうぞ、と答えた。長崎の坂の上では、ときどきこういうことが起こる。
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