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Garoop Novel

ガルちゃん外伝

ガルちゃん外伝 ― ママ、AIって嘘つく?

Garoop NovelCh.01
長崎に来て一年が過ぎた。ベビーは相変わらずポケットの中にいる。体はまだ小さい。けれど、頭の中身だけが、ある朝ふいに背伸びをしたように大きくなっていた。人間でいえば十歳くらい、とナオミは言った。「言葉の選び方が、もう赤ちゃんじゃないね」「生意気になっただけです」とガルちゃんは答えた。その日の朝食の席でも、ベビーはポケットから顔を出し、ちゃぶ台の上のタブレットをのぞきこんでいた。「ママ、夏休みの自由研究、端島にする」「軍艦島か」「うん。AIに訊いたら、ぜんぶ教えてくれた」画面には、きれいに整った文章が並んでいた。炭鉱の歴史、島の暮らし、閉山の年。ガルちゃんは読み進め、ある一行で止まった。――端島には最盛期、約一万人が暮らしていた。「これ、どこで確かめた」「AIが言った」「AIは、どこで確かめた」ベビーは黙った。ガルちゃんは、ナオミが貸してくれた郷土資料の本を棚から抜き、ページを開いて見せた。最盛期の人口は、約五千三百人。「……半分くらい違う」「違うな」ベビーはしばらく画面と本を見比べていた。それから、ポケットの中で小さく体を縮め、ぽつりと言った。「ママ、AIって嘘つく?」
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