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Garoop Novel

未来ファンド審査室

未来ファンド審査室 ― 線はどこに引く

Garoop NovelCh.03
扉が閉まると、佐伯は画面を拡大した。「四十件のうち、三十件のプロンプトに同じ言葉が入っています。『森下ほたる風の水彩で』」波多野が首をかしげる。「誰だ」「絵本作家です。現役で、十年以上描いている。あの淡い水彩と、星を散らす描き方は、彼女の作風そのものです」部屋の空気が一段重くなった。佐伯は言葉を選びながら続けた。「技術的に言うと、作風そのものが直ちに権利で守られるとは限りません。ただ、特定の作品に似すぎれば話は別ですし、何より、生きている作家の名前を指示に入れて、似た絵を作って売っている。法律の線がどこに引かれるかは、いまも議論が続いている。でも、法律の線と、倫理の線は、同じ場所には引かれていない」円城が見本の絵本を閉じ、表紙を指でなぞった。ガルちゃんは、自分の勉強ノートを強く抱えた。夜中に赤い丸をつけた言葉の一つが、まさにこれだった。学習、模倣、敬意。どれも辞書を引けば意味は分かる。けれど、その境目に立ったとき人がどう判断するかは、どこにも書いていなかった。霧島は、相変わらず何も言わない。
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