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Garoop Novel

ガル軍曹の起業塾

ガル軍曹の起業ブートキャンプ ― 卒隊式と未来ファンド

Garoop NovelCh.05
質疑の最初の手を挙げたのは、眼鏡の男性だった。「三十万円は、事業としては小さい。島全体では、いくらの被害なんですか」。会場が少し静まった。一日目の湊なら、ここで五百万円と言っていたかもしれない。紗良がマイクを取った。「わかりません」。審査員の眉が、わずかに上がった。紗良は続けた。「まだ誰も数えていないからです。だから、アミノメを作ります。網がどこに、どれだけ溜まっているかがわかれば、被害額も初めて計算できます。わからないことを、わかるようにするのが、最初の仕事です」。男性はしばらく紗良を見ていた。それから、手元の紙に何かを書きつけた。「いい答えです。私が銀行にいたころ、わからない、と言える社長は十人に一人もいなかった」。紗良は小さく頭を下げた。マイクを持つ手が、ほんの少しだけ震えていた。湊はその手を見て、合宿の一日目を思い出した。わからないことは、わからないと言え。いちばん難しいルール、と軍曹は言った。紗良は今、それを大人の前で、まっすぐ守ってみせた。
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