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Garoop Novel

ガルちゃん外伝

ガルちゃん外伝 ― 草原から長崎へ

Garoop NovelCh.06
シドニーの港は、草原の千倍うるさかった。エイミーが話をつけてくれた貨物船は、小麦と羊毛を積んで北へ向かう。船長は髭の濃い男で、ガルちゃんを見るなり腕を組んだ。「密航は困る」密航ではありません、とガルちゃんは言わなかった。言葉が通じないからだ。代わりに、甲板に転がっていたロープの束を跳び越え、きちんと巻き直して置いた。次に、厨房の前に積まれた芋の袋を、ポケットを使わずに二つ運んだ。ポケットはベビー専用だ。船長は眉を上げた。「……働く気か」ガルちゃんはうなずいた。ただで乗るつもりはなかった。この子に最初に見せる海の景色を、ずるで手に入れたものにはしたくなかった。それが、彼女の倫理観のいちばん古い層だった。航海は十二日。昼は甲板を掃き、夜は厨房で皿を拭いた。船員たちは最初こそ遠巻きにしていたが、三日目には彼女に『チーフ』とあだ名をつけた。尻尾で扉を押さえながら両手で皿を運ぶ姿が、誰より手際よかったからだ。赤道を越えた夜、ベビーがポケットから顔を出して星を見た。「ママ、星が違う」「南十字星が沈んだ。ここは北の空だ」「さみしい?」「少し。でも、新しい星も覚えられる」
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