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Garoop Novel

ガルちゃん外伝

ガルちゃん外伝 ― 草原から長崎へ

Garoop NovelCh.07
十二日目の朝、霧の向こうに、緑の山が折り重なって見えた。湾は深く、細く、山がそのまま海に落ちている。斜面にびっしりと家が貼りつき、その間を細い坂道が縫っていた。長崎だった。船が女神大橋の下をくぐるとき、ベビーがポケットの縁から身を乗り出した。「ママ、家が山に登ってる」「坂の街だと聞いた」「跳びやすそう」「たぶん、跳ぶしかない」港に降りると、潮の匂いに、どこか甘い香りが混じっていた。カステラ、とあとで教わった。エイミーの妹、ナオミが迎えに来ていた。日本で暮らして十年になるという彼女は、ガルちゃんを見て一度だけ目を丸くし、それから普通に笑った。「姉から聞いてる。カンガルーが生成AIを学びに来るって。冗談だと思ってた」冗談では、ありません。ガルちゃんは心の中で言った。ナオミはその顔を見て、また笑った。「うん。冗談じゃない顔だね」坂を上る。石畳、教会の尖塔、寺の瓦屋根、その隣の小さな神社の鳥居。違う祈りの形が、一つの坂に肩を並べていた。ガルちゃんはそれを、いい景色だと思った。誰も、誰かの祈りを押しのけていない。草原の長老が雨の前に空へ頭を下げていたのを、ふと思い出した。
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